カチガワ録音雑記

地域の皆様に愛されて100年。カチ録は街の情報発信基地。

というわけで、月曜は藤井郷子カルテットを観に、ラブリーへ行ってきました。

藤井郷子(p)田村夏樹(tp)是安則克(b)Jim Black(d)
*レギュラーメンバーのMark Dresser(b)は親族に不幸があった為、帰国。急遽、是安氏がヘルプ
official site: http://www2s.biglobe.ne.jp/~Libra/index_j.html

ラブリーは名古屋の老舗ジャズクラブ。実は行くの初めて。何故かと言うとチケットが高いから(どれも4000円くらいする)
値段の事でごちゃごちゃいうのは貧乏くさいですが、月に何度もライブを観る身としては、4000円はキツイです。
さて、初めて藤井カルテットを観たのは数年前。リズム隊が早川岳晴と吉田達也でした。正直、この二人の音が好みではないので、田村氏のトランペットが面白いという印象しか抱けず、それきり観に行っていませんでした。
で今回、一平さんに「Jim Black*1がスゴイ」という話を聞き、来てみたという訳です。
で、ライブですが、もう、「かっこいい!」の一言に尽きます。
本当にそれで終わりにしたいくらい。どう書いたって陳腐になるし書き足りないから。だけど、一応どこがどう良かったのか書きます。言っとくけど、実際はこの何倍もすごいゼ。
Jim Blackは多数の小物やスティックを(ギミックとしてではなく、それらが出す音を狙って)めまぐるしく使い分け、ブレイクビーツも叩くなどまるでMPCのような音色の多彩さ。しかもそれをインプロヴァイザーならではの圧倒的なフレキシブルさで叩き出してました。もう彼だけずっと別の流れを生み出していて、しかも要所できっちり合わせてくる。その反応の速さも異常。あ〜びっくりした。さすが某凄腕ハードコアドラマー*2に「えっ?僕ドラマーじゃないです!!」と言わしめただけの事はある。ちなみに殆どジャズっぽいフレーズは叩きませんでした。
そして、藤井郷子と田村夏樹もむちゃくちゃ良かった。ピアノを睨み付けながら弾く音の鋭さは、まさに鬼気迫るという表現が当て嵌まるでしょう。プリペイド・ピアノで異音を出して他のソロのバッキングをしたり、バキバキの変拍子だったり、ジャズのフィールドから頻繁にはみ出しつつも、音がひたすら美しさに溢れていたのが素晴らしい。プリペイド変拍子も珍しくも何ともないし、大概「手法そのものを見せ付ける」だけに留まっているものが殆どで、そんなものは単なる曲芸でしかない。だから、普段はそういうの聴いても何も感じないんだけど、藤井さんの場合は別。手法はあくまでも手法にすぎず、それをどう当て嵌めていくか、音楽としてどうしていくのかが肝だというのが前提としてあるんだろうな。田村夏樹は藤井さんとは好対照で、金管特有の直線的な音を出したり、なんだか屁のような音を出してみたり、そうかと思うとむちゃくちゃ男前なフレーズを吹いたりと、捉えどころのない飄々とした趣。ジャズと他の音楽のフィールドを自由に行き交うのは藤井さんと同様でした。
逆にベースの是安氏は非常にジャズ的。このメンバーに呼ばれるくらいですから保守的なプレイスタイルなわけ無いんですが、彼のベースはどこまで行ってもジャズを感じさせる演奏でした。逆にそれが、ジャズから頻繁にはみ出すメンバーのジャズ的な魅力を引き出してて良かったと思います。
全部で2セット。まったく退屈する暇もなく、目を見開きっぱなしの二時間でした。何度驚きで口をあんぐりさせた事か!本っ当〜〜〜〜〜〜〜に行って良かった!Mark Dresserが入った音も聴きたいですし、今後名古屋に来たときは必ず行きます!

*1:実はBOA DRUMに参加してたらしいです

*2:誰もがスゴイと認めるあの人です