カチガワ録音雑記

地域の皆様に愛されて100年。カチ録は街の情報発信基地。

JAZZばかり聴いてます


Lennie Tristano[Tristano]
みんなが「ビバップだー!!ブリブリーだぜー!!」っつって騒いでるときに、前衛だ現代音楽だとトリスターノ学派なんて派閥作ってクールジャズ生み出した盲目のピアニスト。さぞかし偏屈なんだろうなと思ったら本当に偏屈だったみたいで、弟子のLee Konitzとのコンボも数ヶ月で解消。リーさんさっさと袂を分かち、温か味のあるプレイスタイルに転向しちゃいました。
演奏内容は今の耳で聴けば難解でもなんでもないと思います。ただ、録音方法が55年当時のジャズとしては凝ってます。先にベースとドラムの単純なループだけ録っておいて、遅めのテンポでピアノソロを別録り、それをリズムトラックと同じテンポに上げてオーバーダビング。そうするとピッチが上がって普通のピアノより硬質な音になるんですね。
まぁ、ジャズの醍醐味である楽器間のやりとりを完全に放棄してまでやる事かとは思います。が、方法論としてはクラブミュージックと同じなわけで、それはそれで凄い事だとも言えなくもない。かなぁ。



Elvin Jones[Puttin' It Together]
68年。エルヴィン最高。生で聴きたかった。さぞかしやかましかったんだろうなぁ。ウソかも知れませんが、興が乗ってくるとコルトレーンのテナーが聴こえなくなる程でかい音で叩くので、ソロの途中でもソプラノに切り替えていたんだとか。(伝記に書いてありました。この頃ってPA使ってなかったんでしたっけ?)
サックス、ベース、ドラムという編成なのが良い。彼のドラムは小編成の方が生きますね。
それにしてもJIMMY GARRISONのベースソロは本当にどれも同じだ(笑
JOE FARRELLはReturn To Foreverの人。



M.J.Q[No Sun In Venice]
57年公開のフランス映画「大運河」のサントラ。編曲を重視し、室内楽的ジャズを目指したM.J.Qにとって、映画音楽というのはうってつけでしょう。どうやらジャズメンを音楽担当に起用した最初の映画だそうです。ジャズを使った映画音楽というと、Miles Davis死刑台のエレベーター」くらいしかパッと思いつかないすけどね・・・
組曲っぽくなっていて、ひたすら美しさを重視した作りになってます。



The Peter Brotzmann Octet[The Complete Machine Gun Sessions]
Peter Brotzmann(ts,bs) / Willem Breuker(ts, bcl) / Evan Paker(ts) / Fred Van Hove (p) /
Peter Kowald(b) / Buschi Niebergall(b) / Han Bennink(ds) / Sven-Ake Johansson(ds)
68年。欧州フリージャズの怒涛。ずどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
最初から最後まで飛ばしまくってます。全く出し惜しみしないのが潔い。
個々の楽器がどうだとか、そんな事気にせず、ただひたすらに繰り出されるやかましい音を浴びれば良いと思います。それでニヤニヤできればOK!



Grachan Moncur III[Some Other Stuff]
Grachan Moncur III(tb) Wayne Shorter(ts) Herbie Hancock(p) Cecil McBee(b) Tony Williams(ds)
64年。完全にサイドマン目当てで買いました。
それにしてもグレシャン・モンカーのソロは何回聴いてもよく解らない(笑



Lee Konitz[Subconscious Lee]
49〜50年。トリスターノの門下生だった頃の音源。聴いた感じ、これも難解な印象はないですね。これってクールなのか?と、今の感覚でこれをクールと言われても違和感を感じるけど、ビバップの熱狂を考えれば納得。ほぼ同じ頃、Miles DavisとGil Evans, Gerry Mulliganが『クールの誕生』*1で目指しつつもできなかった「ビバップのような閃き一発のスリリングなものとは別種の、文字通りクールな味わいを持ったジャズ」が実現できてるんじゃないかなぁ。



Grant Green[Talkin’ About]
64年。Larry Young, Elvin Jonesとのトリオ。人懐っこいメロディを奏でる彼が、何故モードの権化のような人と組もうと思ったのか解らないけど、意外に合っているから不思議。ラリーもエルヴィンもイケイケの人だからかな。
グラントで「にっこり」ラリーで「おぉ〜」の繰り返しで飽きずに聴ける。録音バランスのせいか、エルヴィンのドラムがうるさくない。というか真面目にバックに徹している。



John Coltrane, Wayne Shorter, Larry Young, Elvin Jonesのラインで探りつつ、白人ものも攻略して行きたいなぁという感じです。
つい最近、ショーターが熱烈なそーか学会員だという事が判り多少ショック。まぁ信者だってのは知っていたのですが、まさか「食事の前に・・・」って3時間も題目唱える程だとはね。娘さん(故人)が脳性マヒだとか、二番目の奥さんを飛行機事故で亡くしたとかあったみたいなんですが・・・。ハンコックのバカ!
とはいえやっぱりショーターはスゴイんで、聴くの止めたりとかできませーん。
ハンコックは・・・どっちでもいいや(笑)

*1:ビ・バップでの通常の編成(トランペット、サックス、ピアノ、ベース、ドラム)に対し、『クールの誕生』ではサックスを2管(アルトとバリトン)にし、更にトロンボーン、フレンチホルン、チューバを加えたノネット(9人編成)にした。トロンボーンはビッグバンドでは必須だが、ビ・バップではほとんど使われない楽器だったし、フレンチホルンやチューバはジャズでは全く使われなかった。それらを加える事で幅広い音域をカバーし、尚且つビッグバンドとは別種の凝ったアレンジができると考えた。そうする事で、即興表現の魅力を活かしつつもビ・バップのように過激でなく、また、ビッグバンドのようなダンス・ミュージックでもない、大人の鑑賞に堪えうるソフトな音楽を作り出すのが狙いだった。ただ、それをSP盤に録音しようとしたのがいけなかった。SP盤の録音時間は片面3分。ソフトなアドリブと凝ったアレンジを生かすにはあまりに短い。結果、ジャズというより吹奏楽と言った方がしっくりくるものになってしまった。あらあら。録音媒体が違えば、今とは違う評価になっていたかもね。実は録音の前年、既にLPレコードが発明されていたのだけど、クラシックがメインで、ジャズの録音に使う事はなかったらしい。当時、ジャズは「3分間芸術」と言われていたらしいので、片面30分も録音できるLPレコードは必要ないと思われていたんだろうね。